嘔吐反射について
院長の大槻です。
歯磨き中に「おえっ」となってしまった経験はありませんか?えずくと表現する場合がありますが、そのような現象を嘔吐反射と専門的に呼びます。喉の奥へ異物がくると生理的に起こる症状で、身体の異常などではありません。
「どんな人がなりやすい?」
一般的にはこのような時に起こりやすい特徴と言えます。ただ、過敏な人は、口腔内になにかものが入ると感じた段階で、吐き気を催すことがあります。年齢や性別などは関係ないとされていますが、妊娠中の方や、子供の時に喉に物を詰まらせトラウマになっている方は特に歯磨きでえずきやすいです。
「出来るだけおえっとならないように歯磨きをするには?」
①小さなヘッドの歯ブラシを使う
大きなヘッドの歯ブラシを使うと、喉や舌先に当たりやすく嗚咽が出やすいです。小さなヘッドの歯ブラシで1~2本ずつ磨いていくとオエッとなりにくいでしょう。
②歯磨き粉の匂いが少なく、低発泡性のタイプにする
歯磨き剤には様々な種類があり、臭いや発泡性もメーカーにより異なります。香料がないタイプや、発泡剤を使用していない歯磨きジェルを選んでみましょう。歯ブラシを水につけるのみで磨くというのも、効果的です。
③あごを引いて歯磨きをする
上向きで歯みがきをすると、どうしても歯磨き剤が喉に流れ込みやすく嘔吐反射の原因になります。あごを引いて、歯磨きを行うようにすることが大切です。
④舌に触れることがないようにブラッシングする
舌が嘔吐反射のスイッチになる方もおられますので、歯ブラシのヘッドが当たらないように歯磨きを行いましょう。
⑤冷蔵庫で冷たくした歯ブラシを使用する
常温の歯ブラシと比べて、しっかり冷やした歯ブラシで歯を磨くと嘔吐反射が起きにくいですとされています。
「しんどいからと歯磨きを放置するのは良くありません」
オエッてなるからと歯磨きを控えてはいけません。歯みがきにはお口の健康を保つ大事な役割があります。
むし歯や歯周病など重症化すれば、自分の歯で噛み食事を行うという生活が送れません。歯磨きは必ず食後に行いましょう。就寝前の歯磨きは、タフトブラシや、デンタルフロス、歯間ブラシなど補助装置を使用し、重点的に行うとより清潔で健康的な口腔内を保つことが可能です。
毎日歯磨きするたびにおえってなる方は、歯科医院での治療においても器具がお口の中に入るたびにそのような状態になります。心理的に負担を感じられる方が多いと思いますが、歯医者さんで相談し、歯磨き指導を受けることをおすすめします。嘔吐反射が少なくなれば虫歯や歯周病のない状態を保つ定期健診へ通いましょう。ご自身の歯を長く健康に保つことは予防歯科の観点からもとても大切ですね。