睡眠時の食いしばり
衛生士の福井です
■睡眠中の歯のくいしばりを放置すると・・・
◎歯や身体にさまざまな悪影響をおよぼします
▲歯並びが乱れてきます
睡眠中にくいしばるクセを続けている歯に強い力がかかってしまい、歯並びが乱れてきます。
▲顎関節症をひきおこします
くいしばりによってあごの関節に負担がかかるほか、あごの筋肉が緊張状態となり、痛みがでたり顎関節症をひきおこします。
▲歯周病が悪化します
くいしばりをすることで歯の根元に強い力がかかってしまい、歯と歯ぐきの境目のすき間(歯周ポケット)が拡がります。
そして、拡がった歯周ポケットに歯周病菌などの細菌が入り込みやすくなり、歯周病の症状が悪化します。
▲エラが張り、美容面で影響が発生します
睡眠中のくいしばりを続けているとあごの筋肉が発達し、いわゆる「エラが張った顔」になりやすいです。
エラが張ると顔が大きく見えてしまうため、「小顔になりたい」と願う人にとってはマイナスとなります。
▲頭痛や肩こりをひきおこします
くいしばりをすると顎から頭の横側に広がる側頭筋(そくとうきん)という筋肉に力がかかり、緊張状態が長く続きます。
すると、側頭筋から首、肩に筋肉の緊張が伝わってしまい、肩がこわばって肩こりが起きたり、頭痛が発生することがあります。
▲骨の隆起をひきおこします
くいしばりによって顎の骨に強い力がかかると骨が隆起してしまうことがあります。
口の中に口内炎ではない硬いコブができたときには骨隆起の疑いがあります。
■睡眠中のくいしばりを改善する方法
◎歯科医院で治療を行うことができます
睡眠中のくいしばりに気づいたり、原因不明の歯の痛みや歯が割れるなどの症状が起きているときには、なるべく早めに歯科医院を受診し、くいしばりの治療を受けることをおすすめします。
歯科医院でくいしばりの治療を行う場合、主に以下の4つの方法を用いて治療を進めていきます。
①マウスピース(ナイトガード)
睡眠中に装着することで歯やあごにかかる負担を減らします。
マウスピースは市販のものもありますが、フィットしない、かみ合わせに悪影響がでる、など不具合も少なくありません。
その点、歯科医院で処方するマウスピースは患者さんの歯やあごの形に合わせて作られるため、かみ合わせに悪影響がでることは少なく、使い心地にも優れています。
なお、歯科医院で処方されるマウスピースには保険が適用可能で、おおよそ5,000~7,000円程度で作ることができます。
②歯列矯正
睡眠中のくいしばりがかみ合わせの乱れによってひきおこされている場合に有効です。
歯列矯正によって歯並びをととのえることでくいしばりが改善されるケースがあります。
◎歯科医院以外での治療方法
睡眠中のくいしばりを改善するためには、まず最初に歯科医院を訪れるのがベターです。
しかし、くいしばりの原因がうつ病など心因的なものだったり、喫煙やアルコールなどの日常的な習慣が原因の場合には歯科医院以外の医療機関で治療を受ける必要があります。
喫煙やアルコールがやめられないときには禁煙外来や断酒治療を行っている医療機関を利用したり、うつ病など精神的な要因がくいしばりの引き金になっているときには精神科や心療内科など、メンタルケアを行っている医療機関で診察・治療を受けることが大切です。
【まずはくいしばりの原因を突き止めること】
睡眠中のくいしばりは自分自身では止めることがむずかしいため、医療機関で診察・治療を受ける必要があります。
歯科医院で行う治療ですべてのくいしばりを改善できるわけではありませんが、少なくとも原因がどこにあるのかを特定する手助けにはなります。
睡眠時のくいしばりが疑われるときには、まずは歯科院で診察を受けるようにしましょう。